グミ・チョコレート・パインが提示する、「自分らしい」生き方。
本日も、ご乗車ありがとうございます。
今回は、このブログでは初となる、小説のご紹介です。
タイトルは、
(以下グミチョコ)
作者は大槻ケンヂさん。
筋肉少女帯というバンドのボーカルをしている方であり、小説やエッセイも多数執筆しています。
恥ずかしながら、大槻ケンヂさんについてはあまり知らなかったのですが、私が尊敬する人達が口を揃えたように、「グミチョコは面白い!」と言っていたので手にとってみようと思ったのです。
グミチョコ、は一言で言ってしまえば「青春小説」です。
しかし、キラキラとした一般的(?)な青春小説ではなく、擬音で表すならば、ギラギラ、とかグツグツ、とかギトギト、みたいな感じでしょうか。
誰か腑に落ちる擬音をください。
作者は、「鬱屈したボンクラ共にこそ読んでほしい!」とこの小説を書き上げたそうです。
読みはじめてスグは、「なんてお下品な小説なんだ」と思いました。主人公である賢三は日々自慰行為に耽る少年だったからです。当然のようにお下品ワードが並びます。
しかし読み進めていくと、ふとした瞬間にこう思うのです。
「あれ、この小説、俺のこと書いてね?」と。
賢三と自分を重ね合わせたわけではありません。正確には、作中に登場する全員が、「自分」に重なって見えるのです。これは何とも不思議な感覚でした。
登場人物に共通することは、ひとつ。
「なんか現状がつまらない」ということ。
その認識に対し、それぞれが葛藤し、立ち向かう姿がユーモラスに描かれています。
大槻ケンヂさんの書く文章を読むのはこの作品が初めてですが、
鬱屈した気持ちや悶々としたやるせなさや、不器用に生きる青少年の機微を表現するのがとても上手な方だと思いました。堅苦しい言葉を使いながらも、それでいて面白くて読みやすい。文体も独特なのでこればかりは読んでもらわないと伝わらない。
学生時代、私はいわゆる【非リア充】側の人間でした。限られた少ない友達とばかり過ごし、その友達が欠席した日にはひとりで昼食をとるのが恥ずかしくて教室を飛び出して図書室に逃げ込んだ恥ずかしい記憶もあります。
勉強が人一倍出来るわけでもなく。当然、恋人もおらず、何も行動していない癖に「つまんねーなー」と愚痴をこぼす本当にしょうもない人間でした。
卒業間際にクラスの何人かでカラオケに行ったことを覚えています。カラオケ、という文化に適応できていなかった私は、とりあえずポピュラーな曲を、つまりは当たり障りない曲を歌いました。実際、好きなアーティストは大塚愛ぐらいしかいなかったのですから、歌える曲は限られていました。(当然、大塚愛を歌う度胸などない。)
「つまんねーなー」と言う割には、「つまらない」行動を自ら選択して生きていました。今思うと、あの時大塚愛の「さくらんぼ」を熱唱していたら私の人生はいくらか変わっていたのかもしれない。
時が少し経ち、20歳ごろになると、海外のハードロックやテクノを聴くようになりました。当時プレイしていたゲームの影響で洋楽を聴いた時に、「これは何て言っているのだろう」と興味を持ったことがきっかけです。
プロディジーやブリットフォーマイバレンタインなど、尖った音楽を好むようになりました。
性格が変わった、ということもなく、大人しい人間であることに変わりはありませんでしたが、確かな「趣味」あるいは「自分」というものが出来たのです。
今思えば、「人とは違う音楽を聴いているんだぞ!」という自分に酔っていたのかもしれません。気持ち悪い。
大して意味も理解しないまま英語でシャウトしたりデスボイスを放つ音楽に魅了されていて身体を震わせていた自分は、少なからず今の自分を形成する基盤でもあり、黒歴史なのかもしれません。
そのころからはカラオケでボカロを恥ずかしげもなく歌えたり、マイナーバンドの曲を歌ったりするなど、少しずつ自分を出せるようになりました。
今現在でも、まだまだ世間的に見たら「大人しい」人間であると思います。
しかし、こうしてブログを始めてみたり、友人と遊ぶときに自分の意見を言ったりと、10年ほど前に比べると「自分らしく生きている」という実感はあります。
現状を変えたい!という気持ちはそこらの人間よりも強いという自負はあります。
私たちはもっと自由に生きていい。
そう思います。このブログで言うのもナンですが、本にはさまざまな成功者の考え方が書かれています。ですが、結局のところは自分の信念を通せばよいと思うのです。わがままでいいんです。だって自分の人生なんだから。
やりたいことがあるなら、今日やる!くらい大胆になっていいんです。
誰がどう思おうが関係ない。自分の人生なんだから。
非リア充だっていいじゃないですか。数少ない友人を大事にしているのならそれでいいじゃないですか。自分だけの趣味があるなら、素晴らしいじゃないですか。
話は逸れますが、
楽しく生きるコツとして、「自分をもっと認めてあげる」というものをここに残しておきます。日本人の国民性は非常にストイックであり、つい減点方式で自分を評価しがちです。少しくらいは、自分を認めて伸び伸びと生きてもよいと思うのです。
長々とエラソーに語りましたが、グミチョコはそんな鬱屈を吹き飛ばしてくれるロックミュージックのような小説です。
現状を打破したい学生、社会人。淀んだ生活に溺れかけているギリギリの人間。
そんな人たちに読んでほしいと強く思います。
ちなみに、グミチョコは、グミ編・チョコレート編・パイン編の三部作です。
是非チェックしてみてください。