イニシエーション・ラブの最後の2行を読んだら目ん玉飛び出た話(ネタバレなし)
本日も、ご乗車ありがとうございます。
今回は、小説のご紹介。
「イニシエーション・ラブ」という小説をご存知ですか?
これは、ネタバレなしで語るとなると、開示できる内容が非常に限られてしまうのですが、どうしてもこの本の魅力を語りたいので記事にしてみました。
本作は、いわゆる【叙述トリック】の小説。
小説という形式自体が持つ暗黙の前提や、偏見を利用したトリック。典型的な例としては、前提条件として記述される文章は、地の文や形式において無批判に鵜呑みにしてもいいという認識を逆手にとったものが多い。登場人物の話し方や名前で性別や年齢を誤認させる、作中作(劇中劇)を交える、無断で章ごと(時には段落ごと)の時系列を変えることで誤認させるなどがある。
作者が読み手の意識を意図的にコントロールすることによって、驚きの結末に導くというものです。
結論からいうと、私は完全に引っ掛かりました。
最後の2行、がこの小説のキモにあたるのですが、これを読んだ瞬間私は
こうなりました。
鮮やかに騙されました。
それから読み直すと、あれまあれまと伏線のオンパレード。
小説だからこそ為せる手法には感激しました。
この小説のすごいところはこれだけではありません。
なんと、映像化したのです。映画です。
オチを知っている人からすると、「いやさすがに無理でしょ」と思うことでしょう。
でもそれをやってのけたのが、このイニシエーションラブという小説なのです。
私は小説を読み終わってすぐに、アマゾンプライムでイニシエーションラブの映画を視聴しました。
小説そのまんまのトリックだとさすがに映像化は無理だと判断したのか、映画ではトリックが新しく変えられていました。後々知ったのですが、これには作者のアイデアが使われたとか。
映画のなかで、キモとなるトリックが仕掛けられたシーンでは思わず笑ってしまいました。オチを知っているので当然です。いやーこれは厳しいだろー、と一人ツッコミましたよ。
ですが映画がイニシエーションラブ初見の人はおそらく騙されたのでしょう。・・・ですよね?
映画の主演は前田敦子と松田翔太。私が演技を評価するのも大変おこがましいですが、まあまあ面白かったですよ。でも私としては、先に小説を読んで欲しいなと思います。
小説は当然感情の機微が細かく描かれていますし、オチも鮮やかで独特の後味を醸し出しているので。
映画のオチはなんだか説明してます感が強くて、ゲームの攻略解説動画を見ているような感覚になりました。まあ限られた時間でオチの驚きを観客に与える必要があるので当然の成り行きだとも思いますけど・・。
いやはや、見事に叙述トリックにやられました。久々の小説だったので、小説読みたい欲も高まってしまいました。
私が今までに読んだ叙述トリック小説でおすすめしたいのは「ハサミ男」と「葉桜の季節に君を想うということ」の2冊、そして今回の「イニシエーションラブ」でしょうか。
言葉のトリックってなんでこんなに気持ち良いんですかね。伏線を見つけてあーだこーだ推理している緊張状態がイッキにほどける何とも言えない感覚。
ぜひ皆さんも叙述トリック小説、一冊いかがでしょうか?